再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
そもそも私、料理なんてしたことないけど……大丈夫かな。


「今回の結婚は、西野にとっても悪い話じゃないと思うから」

「………」


一方的にそう言われ、もう返す言葉が見つからなかった。


その後のことは、正直あまり覚えていない。
高森先輩がいつの間にか会計を済ませていてくれて、気が付けば自分のアパートだった。

酔って夢でも見ていたのかと思ったけれど、いつの間にか登録されている高森先輩のメッセージアプリに『明日出勤したら、退職のことを伝えるように』とメッセージが入っていたから、現実なのだと思い知らされた。

それには返信もせずシャワーを浴びてベッドに入ると、つい先ほどまでの会話が頭の中を駆け巡って行くーー。


……私が、結婚？
それも、高校時代に想いを寄せていた、今や御曹司の先輩。

夢じゃないかと何度もメッセージアプリを見返してみても、高森先輩のメッセージは残ったまま。


「いくらなんでも、結婚……って」


本当なら、心から私のことを愛してくれている人と結婚したかった。
こんな仕事をしていてわがままかもしれないけれど、それをも受け入れてくれる男性との結婚を夢見ていた。

今のままでは、高森先輩が私のことを好きかどうかなんてわからない。
聞くことすら、怖い。
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