再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
車から降りると、自然と絡められた手。
こういうこと、蒼汰さんは何食わぬ顔でしてくるけれど、なんとも思っていないのかな?

この前のキスもそうたけど……蒼汰さんに触れられる度、私はすごくドキドキしているのに。


「ここっぽいな」


【夜間・休日受付】と書かれた場所を指差しながら、蒼汰さんは受付前で足を止めた。

うわ……。いよいよだ。
婚姻届けを提出したら、私と蒼汰さんは夫婦になるんだ。

受付に座っていた担当の人に声を掛けてから、バッグから取り出した婚姻届けを手渡す。


「お預かりしますね。婚姻届けですね、おめでとうございます」

「あ……ありがとうございます」


面と向かって『おめでとう』と言われ、少し恥ずかしい。
それを隠すかのように蒼汰さんの方を見ると、蒼汰さんも嬉しそうにしてくれている。

「では、お預かりしますね」と受付の人が笑顔でそう言ってくれ、軽く会釈をしてからその場を離れた。


「やっと夫婦になれたな」

「え、はい。なんだかまだ、実感はないですけど……」

「それもそうだろう。ゆっくりでいい」


車までの道のり、手を繋ぎながらそう言ってくれた蒼汰さん。

ゆっくりでいい……か。
もしかしたら、蒼汰さん自身もまだ実感がないのかもしれない。
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