再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
戸惑いを隠しきれずもごもご言っていると、蒼汰さんが私の頭にポンっと手を乗せた。


「大丈夫。それに、もう予約してあるんだから」

「……はい。ありがとうございます」


私のお礼を聞いた蒼汰さんは、とても嬉しそうな笑顔を見せてくれた。

しばらくすると、蒼汰さんの車は1件のフレンチレストランの駐車場へと滑り込んで行く。
お店を見た瞬間、息が止まりそうになった。

だって……絶対高いでしょ、ここ。
ただの政略結婚の相手に、どうしてここまでしてくれるのだろう。


「さて、着いた……って、莉乃。なに固まってんだ？」

「え……あ、あれ？　えっと……大丈夫、です」


私が変な返事をしたせいで「あはは！　なにが大丈夫なんだ？」と笑っている蒼汰さん。

だって、頭の中がこんがらがっていて整理がついていないんだもの……。
まさかこんなところでのランチだなんて思っていなかった。

お金に困らなくなってからブランド品はよく買うようになったけれど、こんなおしゃれなレストランでの食事の経験はない。

テーブルマナーとかさっぱりわからないんだけど、それでもいいのかな。


「変な莉乃だな。とりあえず、中に入ろうか」


固まったままの私を置いて先に車を降りた蒼汰さんは、助手席側に回ってくるとドアを開けてくれた。
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