再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
そっと私の手を取ると、ゆっくりと車から降ろしてくれる。


「行こうか、莉乃」

「は、はい……」


さっきから、心臓がドキドキとうるさい。
蒼汰さんとの距離も近くて、この心臓のドキドキが聞こえてしまわないかと心配になる。

そんな私とは裏腹に、蒼汰さんはとても嬉しそう。
まるで、私と過ごす時間を楽しんでくれているかのようにーー。


「莉乃、どうぞ」


そう言いながらドアを開けてくれる蒼汰さん。
ドアの向こう側から目に飛び込んできたのは、今までに足を踏み入れたことのないような異世界な空間だった。

テーブルも椅子も、海外製品を使用しているのか、とてもおしゃれ。
ゆったりとしたBGMがさらに異世界な空間を創り出していて、とても心地がいい。

入り口を入ってすぐの場所には、誰もが知る有名な画家の絵画。
あまりにも美しい店内にうっとりしていると、前方から人の気配を感じた。どうやら、ウェイターさんだ。


「いらっしゃいませ」

「予約していた高森です」

「お待ちしておりました。お席へご案内しますね」


にっこりと笑いかけたウェイターさんは、私たちを席へと案内してくれる。

通された席は窓際で、一番景色がよく見える席だった。
テーブルにはピンク色のマーガレットやカスミソウといった、可愛らしい花が飾ってある。
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