再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
案内してくれたウェイターさんが椅子を引いてくれ、「ありがとうございます」と言いながら腰かけた。


「コース料理はもうオーダーしてあるんだ。莉乃、飲み物選んで」

「えっ、そうなんですね。ありがとうございます」


まさか、そこまで準備万端だとは思っていなかった。

とはいえ、メニュー表を渡されてもきっと選べないと思う。
できるだけ値段が高くない物を選択していたと思うし、蒼汰さんも私がそうするであろうと予想していたんだと思う。

そういうちょっとした優しさが、蒼汰さんらしい。


「お酒でもいいよ。俺は飲めないけど」

「い、いえ。私もお酒は大丈夫です。ノンアルコールのカクテルにしておきます」

「じゃあ、俺も」


ウェイターさんにノンアルコールのカクテルを2つオーダーすると、「かしこまりました」と言いながら厨房へと戻っていく。

しばらくすると、先ほどのウェイターさんがカクテルと共にフレンチの前菜ーーオードブルを、一緒に運んできてくれた。
赤や緑、黄色の野菜がきれいに飾り付けられており、「わぁ……きれい」と声を漏らしてしまった。

普段あまり使わないフォークとナイフを見よう見真似で使い、食材を口に運んでいく。


「お……美味しい」


初めて口にした食材は、想像以上に美味しかった。その美味しさに感動して、さらに口へと運んでいく。
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