利瀬くんの甘さに溺れたら
さっき決意したばかりなのに、まさかこんなに早く先を越されるなんて。
もっと早く誘っておけば良かった…と後悔したところで、後の祭りである。
可愛い杏奈ちゃんから誘われて断る男子なんて、存在するはずな……
「断ったけどね」
「んえ?」
ちょっ、今とんでもなく変な声出ちゃった気がする…どうしよう…!?
じゃなくて……!!
「こ、断った…の?」
利瀬くんの言葉が信じられなくて、つい聞き返してしまう。
でも、利瀬くんは当然のごとく首を縦に振って頷いた。
「…なんでそんなびっくりしてるの?普通に断ったよ」
「そう、なんだ……」
私が男だったら絶対に断らないし、断るのも恐れ多い気がして受け入れるだろう。
それを、利瀬くんは微塵も気にしていないように言ってのけるなんて…。
「…ねぇ、瑠々。もう一個だけ、お願いがあるんだけど…いい?」
「えっ?あ、うん…!私にできることなら…」
杏奈ちゃんのことばかりが気になって仕方ない私に、利瀬くんは本日二度目のお願いをしてきたからもちろん頷く。