とどまることをしらないで。


「…………気を付けなね」


「どうしたのみーちゃん…?」


「食べられちゃだめだよ……!めるめちゃくちゃ可愛いんだから……っ!」


「だから何に?」



何に食べられるの?


そんなわたしの疑問を他所に、みーちゃんは「ほら、めるって何かパクってやられちゃいそうだから……」とか何とかぶつぶつと呟いている。



食べられる?気を付ける?


何を言っているんだろうみーちゃん。

さっきといい、今といい、ずっとはてなマークが浮かびっぱなし。



きっと変な夢でも見ちゃったんだ。



うんうんと頷いていると、教室がザワっとどよめきに包まれた。



「……なんだろう……?」



騒ぎが起こった中心の方へ行くと、ひとりの語尾服のイケメン。



「っえ、律くん……っ!?」



きゃー、と女の子たちが興奮した声を上げる中、わたしはひとり放心状態。



っか、……かっこよすぎる。



いつもは下ろしている前髪が少し上げられていて、その整った顔が良く見える。


くいっと白色のショートグローブを上げる姿は、もうそれですら様になっていて。



ーー執事様だ……。




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