とどまることをしらないで。
ファーストキス
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ギイ、と音を立てて開いた扉の先には、さっきまでの楽しそうな光景がまだ続いていて。
「わあ……っ!」
みんながみんな、後夜祭の花火を待ちわびていた。
「誰もいない……!特等席だね、律くん」
「でしょ?」
少し得意気に言う律くんが可愛くて、少し笑っちゃったのは、ひみつ。
「める、こっち」
「うん……っ」
すとんと並んで腰を下ろせば、肩が余裕で触れちゃう距離。
心臓はばくばくしているけど、文化祭をやりきった浮遊感からか、ちょうどいいと思った。
「……終わっちゃったなあ……」
「ね。……寂しい?」
「うん……」
文化祭中はそんなことなかったのに、今は胸がぽっかり空いてしまった気分で。
「……めるのメイド姿、可愛かったね」
「っ何回もお世辞はいいよ……っ!」
「お世辞じゃないけど。……客に妬くくらい、可愛かった」
「……っ」
「めるに客がいかないようにめちゃくちゃ頑張った」
だから、あんなにも張り切っていたんだね。
いつもは興味ないって言うのに。
それがわたしのためだって知ったら、胸がきゅっと甘く締め付けられた。