とどまることをしらないで。

ファーストキス




ーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー



ギイ、と音を立てて開いた扉の先には、さっきまでの楽しそうな光景がまだ続いていて。



「わあ……っ!」




みんながみんな、後夜祭の花火を待ちわびていた。



「誰もいない……!特等席だね、律くん」


「でしょ?」



少し得意気に言う律くんが可愛くて、少し笑っちゃったのは、ひみつ。




「める、こっち」


「うん……っ」



すとんと並んで腰を下ろせば、肩が余裕で触れちゃう距離。


心臓はばくばくしているけど、文化祭をやりきった浮遊感からか、ちょうどいいと思った。




「……終わっちゃったなあ……」


「ね。……寂しい?」


「うん……」



文化祭中はそんなことなかったのに、今は胸がぽっかり空いてしまった気分で。



「……めるのメイド姿、可愛かったね」


「っ何回もお世辞はいいよ……っ!」


「お世辞じゃないけど。……客に妬くくらい、可愛かった」


「……っ」


「めるに客がいかないようにめちゃくちゃ頑張った」



だから、あんなにも張り切っていたんだね。


いつもは興味ないって言うのに。


それがわたしのためだって知ったら、胸がきゅっと甘く締め付けられた。




< 65 / 69 >

この作品をシェア

pagetop