この恋の化学反応式
「ふう、、」

目標を決めてからというもの私は思いのほか順調に勉強をすすめることが出来ていた。

(あ、もうそろそろ塾に行かないと、、)

あの日以来、先生に会うのは今日が初めてで、少しドキドキしながら塾の支度をした。

塾に着き、私は少し深呼吸してドアを開けた。

「こんにちは」

「おっ、有川!」

ちょうど先生がいて挨拶をしてくれた。
この前のことを思い出したからか、いつもの挨拶のはずなのになぜか先生を見た瞬間心拍数が上がった。

「顔赤いけどどうした熱でもあるのか?」

じっと心配そうな顔で見つめられて更に顔が赤くなる、

「えっ?いや、全然大丈夫です!」

(どうしたんだろ、私、、、)

違和感を感じながらも勉強に集中しようと気合を入れて席に着く。

けれど、その後の授業も先生が私に何かを問いかける度にいちいち顔が赤くなり、とても勉強どころではなかった。

なぜこうなるのか。
本当は心の中では分かっている。
けどどうしても、その答えに気づきたくない。

そんな私の気持ちとは裏腹に、先生への感情は確かに大きなものになっていた。

(絶対この気持ちは気のせいだよ)

(だってそんな、、先生と生徒なのに、、)

そんなことをぐるぐる考えながらやっと授業を終え、教材を片付けていたときだった。

「有川、今日も授業お疲れ様。最近頑張ってるからさ、これやるよ。当たってもう1本貰えたんだ」

そう言って先生はカフェオレを差し出してくれた。

「 あ、ありがとうございます、、」

そういえば、この前も私を落ち着かせようとカフェオレをくれたんだっけ、、。

「そういえば来週の日曜、花火大会があるらしいぞ。塾も休みだしちょっと息抜きに行ってみたらどうだ?」

「そうなんですね。先生は行くんですか?」

「まあ気が向いたら行くよ」

私はふーんと頷きながら、先生と偶然会えたらいいなと思った。
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