恋の色した空と君
「伝わってないって何の話 ? 」
「………。」
分かってます。ごめんなさい。はぐらかしてるんじゃなくて、ほんとに何か分からないのです…。
「先輩って本当にストレートに言わないと伝わんないんですね。」
「そう、らしいね…?」
意味が分かっていないから探るようにそう返す。
「ま、それでもいいです。それこそ先輩だし、その方が攻略しがいがあるので。」
そう言ったあと、何故か怪しく微笑むとゆっくりと顔を近づけてきて
「俺が絶対落とすんで、覚悟してて下さいね。穂菜々先輩。」
耳元でそう囁いた。
初めて名前、呼ばれた。
それと、自意識過剰かもしれないけどさすがにこれは、私でも分かっちゃった…かも?
おずおずと目線を上げると、さっき同様怪しく微笑む圭くんと目があった。
これは、あれだ。ほんとに落とす気満々って顔だ。
「さ、穂菜々先輩、帰りましょうか。」
「う、うん。そうしよっか。圭くん。」
夕日が空に沈む頃、2人の関係にも大きな変化が訪れたのだった。
ーそれはまるでビーナスベルトが藍色に変わるように。ー
終


