恋の色した空と君

「おぉ、うんうん。圭くん、大丈夫だ。すこーしすこーしだけ落ち着こうか ? 」

大丈夫、大丈夫と暗示のように続ける。

これは、はたから見たら私の方が怖いのかもしれない。いや、そうではないと思いたいけど。


「先輩の方が落ち着いたらどうです ? 俺は落ち着いてますから。」

うん、そうだね。声だけは落ち着いてるね。声だけはね。


「ねぇ、先輩、俺の気持ち伝わりましたよね ? 」

話がまた振り出しに戻った。

圭くん大丈夫かな ? 私が言うのもなんだけど、今日は私の方がまともな気がしてくるよ。


「あのー、ごめん。ずっと聞いてたんだけどね ? 圭くんの好きな人やっぱりわかんなくてね ? だからその、圭くんの気持ちとは一体… ? 」

また聞いてないんですか、とか言われると思って構えていたけど返ってきた答えは

「は ? 伝わってない… ? 」

だった。


この数十分の間で圭くんの口調がすごく崩れてきてる気がする。

まぁ、それはいいんだけど。いいんだけども!

…これさっきも思ったな。

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