内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】

「そうか、そう思えば許せたかもしれないな」
「ということは、そうではなかった……?」
「ああ。車種、グレード、ダッシュボードの中身、他の女の気配。そういうことをまるで警察犬のごとく嗅ぎまわられて、ドライブを楽しむ気も失せたよ」

 苦笑いしながら、龍一さんがパーキングから車を出す。話を聞く限り、彼はやはり女性経験が豊富なようだ。

 しかしだからといって、いい思い出ばかりじゃないみたい。

「今まで、真剣に好きになった女性はいないんですか?」
「いない。……と、即答できるのが虚しいが、本当のことだ。俺の前には常に『Sparcil創業家の御曹司』という肩書きが付いて回る。その肩書きを愛して寄ってきたくせに、俺が仕事にかまけていると文句を言う女性たちには、心底うんざりしてる」

 そう話す龍一さんの口角は上がっているが、目は笑っていない。彼が偽装結婚を望んだ理由には、そうした苦い経験も関係していたようだ。

「じゃあ私たち、似た者同士だったんですね」

 無意識に、そんな言葉がこぼれていた。龍一さんが微かに首を傾げる。

「似てる? どこがだ?」

 もちろん、龍一さんと私とでは立場が全く違うし、経験値の差も大きい。

 だけど、ひとつだけ。私と彼に共通点を見つけた。

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