内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「本気の恋を知らないところです。自分は仕事が一番だから別にそれでいいんだって言い聞かせてきましたが、心のどこかでコンプレックスだったんでしょうね。夫になる龍一さんも同じだと知って、ちょっと安心しました」
ふふっと笑って、龍一さんの横顔を見つめる。しかし彼はクスリともせず前方を見つめたままなので、今さらながら失礼な発言だったかもと気づいて慌てる。
「あっ、あの、すみません。不躾でしたよね、あの、本気で似てると思ってるわけじゃなくて、その……」
「確かにその通りだ」
私の弁解にかぶせるようにして、龍一さんが呟いた。先ほどは笑っていなかった目が、やわらかく弧を描いている。
「仕事に集中したいと言えば聞こえはいいが、俺には単に恋愛の才能がないだけだったのかもな」
投げやりな言葉が龍一さんらしくない。けれど、彼でもそんな風に悩んだりするんだと、逆に親近感を覚える。
「才能……なんですかね? だとしたら、私にも全く備わってないですけど」
「とんだ冷血夫婦だな」
「そう考えると、偽装結婚という形は私たちにぴったりだったのかもしれませんね」
「ああ、違いない」
愛はなくても、龍一さんとこうして笑い合うのは不思議と心地いい。この分なら、同居生活もすんなり始められるだろうか。