初恋は苦い思い出。でも出会うべく人と出会いました
 と胸を張る。それから少し時間があったのでお茶を用意してくれたので飲んでいると待ち合わせの時間になった。ジルベルト様はエントランスで待っていてくれて馬車に乗り込む。

「朝早くにごめんね」
「ううん。問題ないよ」

 馬車は丘の方向へと行った。今日はは花まつり当日だから領民の朝は早いのかしら。皆動き始めていた。

「到着」

 ジルベルトが言うと先に馬車に降りて手を出してくれる。街が見渡せてお花が沢山咲いている。

「ちょっと待ってて」

 ジルベルト様が器用に白い花を取り花の冠を作っていた。

「お待たせ。行こう」

 手を繋いで歩いていくと直ぐそこにはお花がたくさん供えてあるお墓があった。

「母さんに紹介したい子がいるんだよ。僕の婚約者で将来のお嫁さん」

 と言って花の冠をそっとお墓に備えた。ジルベルト様のお母様のお墓だったんだ……

「始めまして。オフィーリア・カルメルと申します。よろしくお願いします。実際にお会いできなくて残念ですがこれから私がジルベルト様を支えていきますので見守っていてくださいませね。ジルベルト様はとても優しくて私には勿体無い程の子息です。夫人の育て方が良かったのでしょうね。ジルベルト様は夫人に似ていると伺いましたからきっとお美しいのでしょうね」

 さらさら……と風が吹く。

「ふふっ。そうでしょうね。夫人が嫁いで来られてからお花の町になったと聞きました。この場所も素晴らしいですね。また会いに来てもよろしいですか?」

 さらさら……と風が吹く。

「私良いように考えてしまいますわ。またお会いしましょうね」

「なに? オフィーリアは故人と話が出来るの?」
「ううん。なんとなくそんな気がしただけど、きっと喜んでくれていると思うよ。領民に愛されていたんだね。こんなにお花が沢山供られていて枯れた花がないんだもの」

「うん。そうなんだ。とても愛されていたんだ」
「ジルベルト様や伯爵様の人柄を見ているとそうだなって思う。私もジルベルト様のお母様のように頑張るね」

「そうだね。でも僕を置いて先に逝くのだけはやめて欲しい。約束して」

 ギュッと抱かれてしまった。そんなことは分からないし夫人だって不慮の事故だと聞いたから約束なんて出来ない。いつどこで何があるかだなんて……でもジルベルト様が欲しい言葉を伝えなきゃ。
 
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