初恋は苦い思い出。でも出会うべく人と出会いました
「それは他の騎士たちを信じていないということになりますよ、素直に祭りを楽しまないと!」



 ん? 坊ちゃんの婚約者、ロワール領……あいつか! この辛い訓練もあいつのせいか! くそぉ……絶対に弱音を吐くものか! 見てろよ!!



「ハリー・グレイヴスどうした? 今日は気合いがちがうな」

 今日は学園が休みで朝一番に練習場にやってきて一人で準備を整えた!

「ありがとうございます!」

「褒美に私が手合わせをしてやる」

 鬼軍曹と手合わせか! どれだけ強いんだ?

 結果はボロ負け。呼吸をするのもしんどい。俺は遊ばれて体力だけを失った。

「ふむ。体力は付いてきたな。新人の中でもそこそこ使えるんじゃ無いかな。おまえが強くなってくれたら私の引退も早まるかもな。その頃には坊ちゃんに子供ができて稽古をつける指南役になりたいものだ。言っておくが坊ちゃんは強いぞ? 私でも勝てる。とは言い切れないな」

 聞き耳を立てていたのがバレている!

「騎士団長ってのは家柄がよく、そこそこ強くて頭が切れないとなれんのだが、おまえが本気で強くなりたいという気持ちがあれば騎士団長に勝てるくらいになるかもな。センスは悪く無いがもっと頭と体を使え。騎士団長に認められれば近衛も近づくぞ。今のうちに身辺は綺麗にしておけよ」

「っありがとうございます!」


「聞き耳を立てた罰として体力が回復次第、十周走ってこいよ」

「あ、ありがとうございます……」


 地獄だ……だが負けないからな! ジルベルト・ロワール!! おまえより強くなってやろうじゃないかっ!



 その後強くはなりはしたが、結局鬼軍曹の跡を引き継ぐことになった。近衛から声も掛かったんだが、この部隊も悪くないと思う俺は洗脳されてしまったのだろうか。


 婚期がますます遅れたのはいうまでも無い。
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