劣化王子(れっかおうじ)

「鮎川とふたりでいるのを見て、すっごく嫌な気持ちになった」

「……ユノ」

「とられたくない、って思ったんだ」

ユノはいつも、ストレートに気持ちを伝えてくる。

自分の気持ちがハッキリしない今、まだ、そこまでのことは言えないけれど……。

「わたしもひとつ言っていい?」

「ん?」

「わたし、再会したときね……太ってるユノにショックを受けたの」

「……」

「でももう気にしてない。……さっきは体型のことを言っちゃったけど、本当は……もう気にしてないの」

多分、わたしの今日のイライラは……同じヤキモチなんだと思う。

まだ、そのフレーズは口に出来ないけれど。

「傷つけてごめんね」
嬉しかったよ、エイミーに言ってくれたとき……。

抱きしめられても嫌な気持ちにはならなかった。



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