旦那様は仏様　～もっとイチャイチャしたいんです～
「その疑ってるわけじゃないですけど……それを認めるのは些か恥ずかしくて」
「そういうところですよ。あなたの魅力は。美咲さんと出会って、私はすぐにあなたに惹かれたんです。あなたをものにしたいと思った。だから、あんなに強引に結婚へと進めたんです」

　美咲は目をパチパチと瞬かせた。強引だった記憶なんて美咲にはない。

「え？　いや、強引なんかじゃなかったですよ？」
「でも、ほとんど交際期間も持たないままプロポーズしたでしょう？」
「まあ、確かにそれは驚きましたけど、でもお互い好きならおかしくはないのかなって思いましたし。あ、あれ？　プロポーズのとき好きって言ってくださいましたよね？」

　すっかり頭から抜けていたが、美咲はプロポーズのときに好きだと言われている。そんなに言うのがつらかったなら、どうしてプロポーズのときは言ってくれたのかと美咲は疑問に思った。

「はい。さすがにそれを言わずに結婚を申し込むわけにはいかないでしょう？　怖くてたまりませんでしたが、そのときは必ず言おうと決めていました」
「聡一さんがそんな思いを抱えていたなんて全然気づいてませんでした」
「私は顔に出にくい質ですから。でも、プロポーズのときはまだよかったんです。あなたを手に入れるためでしたから。けれど、そのあとはあなたを失うことになってしまったらと思うと簡単には言えませんでした。あなたの気持ちもまだ追いついてはいないと思っていましたし」
「あ……私が気持ちを伝えなかったせいですね。ごめんなさい。最初から私が言っていれば」

　美咲に後悔が押し寄せる。美咲がさっさと自分の気持ちを伝えていれば、聡一を苦しめずに済んだのかもしれないと思ったのだ。
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