旦那様は仏様 ~もっとイチャイチャしたいんです~
「うん……美咲さん、また私のお願いを一つ聞いてくださいますか?」
「はい」
「これから毎日、こうしてあなたを抱きしめてもいいですか?」

 嬉しすぎる提案に勝手に顔がほころんでいく。そんなの美咲がお願いしたいくらいだ。当然、美咲に断る理由はなくて、首をしっかり縦に振りながら、言葉でも肯定の意を示した。

「……はい」
「ありがとうございます。こんなに素敵なあなたを毎日抱きしめられるだなんて、私は本当に幸せ者ですね。とっても嬉しいです」
「私も、嬉しい」

 その日、二人は飽きるまで初めての抱擁を楽しんだ。


 そして、この日以来、聡一は宣言通り、美咲を毎日抱きしめた。朝出かける前、仕事から帰ったあと、夜眠る前、そして、休日には何もない時間に「おいで?」と美咲を呼んで抱きしめてくれた。美咲は毎日毎日幸せな気持ちになった。どんどんイチャイチャライフが充実していく。けれど、人間の欲にはきりがないもので、次第に美咲はまた新たな欲に支配されていくのだった。
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