旦那様は仏様　～もっとイチャイチャしたいんです～
「まだです。何か胃に入れてからがいいかなと思って」
「わかりました。すぐに何か準備しましょう」
「え？」
「こういうときは甘えてください。ね？」

　相変わらず聡一の微笑みは柔らかくて、つらい気持ちも和らいでいく。

「……はい」
「普通のご飯がいいですか？　それとも軽いもののほうがいいですか？」
「じゃあ、軽いもので」
「わかりました。すぐに用意しますから待っていてください。つらかったら気にせず横になっていてくださいね」

　聡一はテキパキと調理をし、すぐに美咲の前に湯気の立つたまご雑炊を置いてくれた。そして、向かいの席にも同じものを置き、その間にはいくつかのおかずを並べてくれる。

「どうぞ、召し上がってください。この辺のおかずも食べられそうなら食べてください」
「ありがとうございます。いただきます」

　美咲が食べる意思を示すと、聡一も目の前に座って朝食を取りはじめた。いつもならしっかり身支度を終えてから食卓に座るのに、今日の聡一は寝起きの格好のままだ。美咲のことを優先してくれたのだろう。それがとても嬉しい。美咲はもう一度心の中で感謝をしてから、用意してくれた雑炊に手をつけた。それは温かくて優しい味がして、まるで聡一のようだった。身体の内側からぽかぽかとしてくる。お腹が温まって、ほんの少しだけ痛みも和らぐ。とても美味しくて美味しくて、美咲は聡一が作ってくれた雑炊をきっちりと完食してから、ようやく目的の薬を飲んだ。
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