お飾り側妃になりましたが、ヒマなので王宮内でこっそり働きます! ~なのに、いつのまにか冷徹国王の溺愛に捕まりました~
立ち上がろうとしたメイジーの肩を掴み、咄嗟にオリアナは一歩前へと踏み出した。
「申し訳ありません。服の袖が邪魔で、少しまくり上げておりました」
「あら? 服のせいで、手を止めていたとおっしゃるの?」
にこっと笑う顔は、優雅さに満ちた美しさだ。華やかで、百花をしたがえるほどの気品を持つ。
「はい。メイジー妃の服は、こういう仕事には不向きなものです。それに彼女は、私ほど外仕事に慣れてはおりません。ですので、彼女が手を止めていた分は、私が草を引きますので――」
「メイジー妃の分も、ご自分でされるとおっしゃっているのかしら?」
「はい、私の友達ですから」
はっきりと答えると、メイジーがじーんと感動したような眼差しで見つめてきた。
「オリアナ……。私、あなただったら、陛下でなくても一生ついていくわ……」
なんだろう。故郷でよく女の子から聞いていたのと同じ感じの台詞を言われているような気がする。
だが、オリアナの返事がよほどおもしろかったのか。
「ほほほ! 結構よ! そういうことなら――あれを持ってきて」
自らの筆頭侍女に持ってこさせた二枚の服を、別の女性に渡した。そのまま女性に命じてバルコニーに続く階段から下りさせ、オリアナとメイジーに差し出してくる。
持ち上げ、ぱらりと開いてみて驚いた。メイド服だ。
この後宮で働くメイドのデザインではなく、表の宮廷で雑用をこなす女性たちの――。
「これは……」
さすがにオリアナは言葉を失った。隣で同じように受け取ったメイジーの顔は、青くなっている。
「あら? 服が邪魔で草引きがしにくかったのでしょう? それならば、服を替えれば捗るのではなくて?」
「誰が召し使いの服なんて……!」
あまりの屈辱に、メイジーが手を振り上げて服を地面に叩きつけた。
「申し訳ありません。服の袖が邪魔で、少しまくり上げておりました」
「あら? 服のせいで、手を止めていたとおっしゃるの?」
にこっと笑う顔は、優雅さに満ちた美しさだ。華やかで、百花をしたがえるほどの気品を持つ。
「はい。メイジー妃の服は、こういう仕事には不向きなものです。それに彼女は、私ほど外仕事に慣れてはおりません。ですので、彼女が手を止めていた分は、私が草を引きますので――」
「メイジー妃の分も、ご自分でされるとおっしゃっているのかしら?」
「はい、私の友達ですから」
はっきりと答えると、メイジーがじーんと感動したような眼差しで見つめてきた。
「オリアナ……。私、あなただったら、陛下でなくても一生ついていくわ……」
なんだろう。故郷でよく女の子から聞いていたのと同じ感じの台詞を言われているような気がする。
だが、オリアナの返事がよほどおもしろかったのか。
「ほほほ! 結構よ! そういうことなら――あれを持ってきて」
自らの筆頭侍女に持ってこさせた二枚の服を、別の女性に渡した。そのまま女性に命じてバルコニーに続く階段から下りさせ、オリアナとメイジーに差し出してくる。
持ち上げ、ぱらりと開いてみて驚いた。メイド服だ。
この後宮で働くメイドのデザインではなく、表の宮廷で雑用をこなす女性たちの――。
「これは……」
さすがにオリアナは言葉を失った。隣で同じように受け取ったメイジーの顔は、青くなっている。
「あら? 服が邪魔で草引きがしにくかったのでしょう? それならば、服を替えれば捗るのではなくて?」
「誰が召し使いの服なんて……!」
あまりの屈辱に、メイジーが手を振り上げて服を地面に叩きつけた。