お飾り側妃になりましたが、ヒマなので王宮内でこっそり働きます! ~なのに、いつのまにか冷徹国王の溺愛に捕まりました~
「そうなると――あとは、グレイシア様のお父様に嘆願してみるか、ライオネル様に直接お願いするしかないけれど……」
かつんと音を立てて階段を上りきった最上階には四方にくり抜かれた窓とバルコニーがあり、開けた視界からはこのリージェンク・リル・フィール王国の王宮の全貌が、青い空の下に広がっている。
ドーム型宮殿が建ち並ぶ間から、さあっと爽やかな夏の風が吹き、オリアナのミルキーベージュの髪を揺らしていく。草引きで汗をかいた体には、風の涼やかさが気持ちいい。
紫色の瞳に映っているのは、緑に囲まれた広大な王宮の中でも、中央にあるエクナル宮だ。金の屋根には太古の時代この国にいたという火・水・土・風・光・闇の精霊たちの紋様が彫られ、そのことから一般的には、六精宮と呼ばれている。その名の通り、今も紋様は太陽の光に輝き、王が住む宮殿に祝福を与えている。
振り返れば、後ろには広大な後宮が見える。強い精霊の力を持つ妃が入るリーフル宮、フレアル宮、アクアル宮など六つの宮殿と、次いで有力な妃たちの住まい、そしてオリアナたち末端の側妃たちが暮らすコンスレール宮やメイドたちの仕事場など二十以上が放射線状に広がっている。
目を戻すと、六精宮を視線の先に捉えたまま、こつこつと足音を立ててオリアナはバルコニーの端まで近寄った。
「ないわねー、方法が」
とんと、花々が彫られたアイボリー色の柵のそばに立つ。
もしオリアナがグレイシアの父親に仲介を頼んだとしても、大貴族の公爵が地方の貧乏男爵家出身である側妃の願いを叶えるとは限らない。
いや、グレイシアの後宮入りを幼い頃から望み、強引に進めたのは、その父親であるエメルランドル公爵だとも噂されている。
ならば、娘以外の後宮の妃など、ただの邪魔者。ひとりでも減り、娘の権勢を確かなものにできるのなら、それに越したことはないだろう。
さらっと明るいミルキーベージュの髪をかき上げると、空から流れる風の中に散っていく。
「だとしたら、あとはライオネル様が最後の頼みの綱だけれど……」
そもそも後宮に来ない相手に、どうやって頼めばいいというのか――。
はああと思わず溜め息が出てしまった。
「これは……詰んだかしら?」
もしライオネルに子ができたのならば喜ばしいことだ。祝ってあげるべきだし、それが側妃である自らの務めともわかっている。
(――だけど)
六精宮を見ていると、どうしても割り切れないのだ。
(せっかく、ここまで来たのに……)
かつんと音を立てて階段を上りきった最上階には四方にくり抜かれた窓とバルコニーがあり、開けた視界からはこのリージェンク・リル・フィール王国の王宮の全貌が、青い空の下に広がっている。
ドーム型宮殿が建ち並ぶ間から、さあっと爽やかな夏の風が吹き、オリアナのミルキーベージュの髪を揺らしていく。草引きで汗をかいた体には、風の涼やかさが気持ちいい。
紫色の瞳に映っているのは、緑に囲まれた広大な王宮の中でも、中央にあるエクナル宮だ。金の屋根には太古の時代この国にいたという火・水・土・風・光・闇の精霊たちの紋様が彫られ、そのことから一般的には、六精宮と呼ばれている。その名の通り、今も紋様は太陽の光に輝き、王が住む宮殿に祝福を与えている。
振り返れば、後ろには広大な後宮が見える。強い精霊の力を持つ妃が入るリーフル宮、フレアル宮、アクアル宮など六つの宮殿と、次いで有力な妃たちの住まい、そしてオリアナたち末端の側妃たちが暮らすコンスレール宮やメイドたちの仕事場など二十以上が放射線状に広がっている。
目を戻すと、六精宮を視線の先に捉えたまま、こつこつと足音を立ててオリアナはバルコニーの端まで近寄った。
「ないわねー、方法が」
とんと、花々が彫られたアイボリー色の柵のそばに立つ。
もしオリアナがグレイシアの父親に仲介を頼んだとしても、大貴族の公爵が地方の貧乏男爵家出身である側妃の願いを叶えるとは限らない。
いや、グレイシアの後宮入りを幼い頃から望み、強引に進めたのは、その父親であるエメルランドル公爵だとも噂されている。
ならば、娘以外の後宮の妃など、ただの邪魔者。ひとりでも減り、娘の権勢を確かなものにできるのなら、それに越したことはないだろう。
さらっと明るいミルキーベージュの髪をかき上げると、空から流れる風の中に散っていく。
「だとしたら、あとはライオネル様が最後の頼みの綱だけれど……」
そもそも後宮に来ない相手に、どうやって頼めばいいというのか――。
はああと思わず溜め息が出てしまった。
「これは……詰んだかしら?」
もしライオネルに子ができたのならば喜ばしいことだ。祝ってあげるべきだし、それが側妃である自らの務めともわかっている。
(――だけど)
六精宮を見ていると、どうしても割り切れないのだ。
(せっかく、ここまで来たのに……)