神獣使いのお気に入り
秘密の約束

さわやかな風が宮殿の庭を駆け抜け、色とりどりの花を揺らして春の訪れを知らせる。

大広間には上級、中級、下級のメイドがそれぞれの階級のメイド服に身を包み一堂に集められていた。

上級は貴族出身、中級は街の有力な商人出身、下級はそれ以外の出身の娘で成り立っており15歳から婚姻するまでの間、宮中に使えることになっている。

要は花嫁修行として基礎的なマナーや知識をつけるためにメイドとして宮中で生活しているのだ。

もちろん、宮中だけで生活するのではなく休日に街の実家に戻ることも自由だ。

そんな宮中での花嫁修行で年に2回のみ一堂に集められる、この特別清掃の号令はみんなが待ち望むイベントである。

「本日は西棟と南棟の特別清掃です。気を引き締めて取り組んでください。」



メイド長の言葉がかかるとメイドは浮き足だった。



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