初デートのすすめ
「えっと…色付きのリップを塗ったんだけど…」
「ダメだよそんな。…キスしたくなるだろ。」
そう言うと、賢斗の顔が近づいて来たので萌は目を瞑る。
「…目瞑ったらホントにキスしちゃうよ?」
目を閉じた向こうに、賢斗の声が聞こえた。
「…いいよ。」
そう呟いた瞬間、唇が柔らかいものに触れた。
少しだけ目を開けてみると、目を瞑った賢斗の顔がすぐそこにあって、萌の心拍数がまた跳ね上がる。たまらず慌てて目を閉じた。
しばらくして、唇がゆっくり離れた。
賢斗の唇に、萌のリップの色が少し移って赤い。
「…こんなことして、やっぱり愛想尽かした?」
顔を真っ赤に染めた賢斗は、顔を逸してからそう呟いた。
萌も顔を赤くし、頭を振る。
「そんな常磐君も好き。」
「…よかった。」
賢斗は片手で顔を覆い隠しながらそう呟いた。
(追加・初デートの注意点)
【心の準備をしておきましょう】
あなたのことが大好きな相手から、キスされてしまうかもしれません。
fin.


