例えばその夕焼けがどれだけ綺麗だとしても

一階に入っている有名ブランドのディスプレイに、自然と沙耶の溜め息が漏れた。


「こんなもの、持ってたんだ……」


手続きの際には、分からないことだらけで、こんな大きなデパートを所有しているだなんて、気付かなかった。


しかし、この梟王デパートは、元々秋元家の持ち物ではなかった筈だ。
不思議に思っていると。


「もう何年も前になりますが、売り上げが落ち込んでいた時、秋元家が買収して、危機を救ったんですよ。」


ちらと、時計を確認した廣井が、沙耶の疑問に答える。


「そう……なんですか。」


その行為は、梟王にとって、味方と見られたのか、敵と見られたのか。
どちらにせよ、当時現場の人間の反発が、全くなかったとは考えにくい。
そして今回。彼らは何を思っているのだろう。

「最上階です。」


中に入り、奥にあったエレベーターに乗り込んだ廣井に、沙耶も続く。
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