例えばその夕焼けがどれだけ綺麗だとしても
「ちょっと待ってください!」
廣井が驚いたような声を上げる。
「そんなことが許されるとお思いですか?!」
そんな廣井を一瞥して、直ぐに榊原は沙耶に視線を戻した。
「貴女自身、この梟王百貨店を本気で経営する気持ちもないでしょう?例えやる気があったとしても、棚ぼたのような貰い方をした梟王(ココ)を、やりくりする手腕がありますか?このまま貴女がトップに着いたら、従業員を露頭に迷わす結果になります。梟王百貨店に未来はない。やってみないと理解できない程、浅はかな方ではない筈です。今の時点で手を引いたほうが余程傷は浅いかと。」
淡々と話していく榊原から、沙耶も目を背けることなく、対峙する。
「…………今回の件に関して――」
そして、漸く口を開いた。
「榊原さん、虎井さん、朝比奈さんを始めとする、関係者そして従業員の皆様には、大変ご迷惑をおかけしました。本当に、ごめんなさい。」
そこまで言うと、沙耶は一度、頭を下げる。
部屋全体は、しん、としていた。
「榊原さんや皆さんが、私に思うことは尤もなことで、反論する余地もありません。」