例えばその夕焼けがどれだけ綺麗だとしても
二人、門の入り口で、その場に立ったまま。
「私、石垣のそばで秘書してたのに、会社のこと何も分かってなかった。悔しいけど、あんたは、凄かったんだね。」
沙耶がそう言うと、石垣は直ぐに合点がいったようにーー
「はっはーん、さては、梟王の連中が何か仕掛けてきたか。」
全て見透かしているかのように言い放ち、腕を組んで背を門に預けた。
高価そうな紺のスーツにも、御構い無しに、夕日が色を付ける。
「えっ!ちょっと!なんで知ってるのよ!しかも何かって何よ!」
驚いた沙耶は、ただでさえ悔しいのに益々悔しさ度が高くなって、もう一体何に対してこのどうしようもない気持ちをぶつければ良いのか分からなくなってきていた。
「いやー、秋元家の持ってる他の会社とは、スムーズに上手く行ったんだよ。けど、梟王だけは、言う事を聞かなかった。それどころか、独立を匂わせてきた。」
石垣は、淡々と説明を続ける。