例えばその夕焼けがどれだけ綺麗だとしても
「独立って……」
沙耶が、今日聞いてきた話と違うではないか。
『今回の買収により、我々梟王百貨店では、会長、社長、副社長全てを失う形になりました。石垣グループによるもの、と我々は考えていたので、石垣グループの傘下に入り、そこからの人間と経営をしていくものだと考えていました。』
銀縁眼鏡は、そう言っていたはずだ。
「石垣の下で働くつもりだった位の事言ってたのに……」
「本当にそう言ってたか?」
湧いてくる苛立ちを、歯噛みして逃しながら、沙耶が言い捨てると、石垣が間髪入れずに訊いてくる。
「え?」
「きちんと思い出してみろ。確かに言ってたか?ウチの下で働くつもりだったと?」
念を押されるように言われて、沙耶は今一度榊原の言葉を思い返してみる。
『石垣グループの傘下に入り、そこからの人間と経営をしていくものだと考えていました。』
「……石垣グループの傘下に入って……石垣の人間と、、経営をしていくものだと、考えてたって……」
沙耶が口に出すと、石垣がクッと笑った。
「やっぱりな。【考えていた】だろ?」
「……どういうこと?」
意図することが理解出来ず、沙耶は眉を潜めて、石垣を見る。