夏祭りの約束

昔の話

「小五から三年間夏祭りであってた男の子がいたの。
私は友達と夏祭りに行っていたんだけど途中で下駄のひもが切れちゃって友達とはぐれちゃったんだよね。
で、友達とはぐれて下駄も切れちゃって道の真ん中で泣きそうになっていた時にその男の子が声をかけてくれたの。」

「大丈夫?具合悪いの?」
と声がして振り向くと私よりも一、二歳年上に見える男の子が立っていた。
「友達とはぐれて、げたのひももきれちゃったの。」
と話すと、
「じゃあ、ここにいたら危ないからちょっとおいで」
とおんぶして神社の本殿から先に少し歩いたところにある崖の近くのけしきがきれいなところにつれてきてくれた。
「ここ、きれいだね。」
「うん、一昨年見つけたんだけど、町が見渡せてぼくのお気に入りの場所なんだ。」
そこからたくさん話をした。
彼の名前は秋といい、私と同い年だということや少し遠くに住んでいて夏祭りの日にしかこっちに遊びに来れないということも教えてもらった。
意気投合して話しているうちに帰る時間が近づいていた。

「で、来年もここで会おうねと約束してわかれたの。
その次の年と、また次の年は会えたんだけど、中二の時は私のせいで会えなかった。」
「たまたま会えなかったんじゃなくて音のせいなの?」と立夏が聞いてきた
「うん。わたし、夏祭りには入ったんだけど約束の場所にはいかなかったから。」
「中二の夏祭りは同じクラスになって仲が良かった子と夏祭りに行っったんだけど、友達といるのが楽しくて時間を忘れていて、そのまま夏祭りは終わって、結局約束の場所に行かなかった。
今思えば祭りが終わってしまっていても約束の場所に行って秋君がいるか確認すればよかったって思うけど気まずく思っちゃって行かなかったから、そのあとからは夏祭りに行ってないの。
行ってもし会っちゃってもどう話していいのかわからないし。」と話した。
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