A Maze of Love 〜縺れた愛〜
 ふたりはすぐに仲良くなった。

 凪咲と過ごすようになって、大翔は人が違ったように明るくなった。
 幼稚園でうまく友達が作れなかった大翔にとって、凪咲ははじめてできた友達だった。

 そして……
 小学校高学年になると、凪咲の存在は、大翔のなかで、友達から好きな女の子に昇格した。

 トレードマークの長い髪をふたつ結びからポニーテールに変え、セーラー服を着た彼女をはじめて見たとき、大翔はどぎまぎして、いつものように振る舞うことができなかった。

 それほど、凪咲は大人っぽくて眩しかった。

 そんな大翔もまた、一年遅れて中学に上がると「かっこいい」と騒がれる存在になったが、取り巻きの女子たちには見向きもしなかった。
 凪咲しか眼中になかった。

 中学2年になると「昨日、だれだれとキスしちゃったんだよね」と、まことしやかに語ってきかせる同級生が、ちらほら現れるようになった。

 そういう話を耳にしたとき、大翔の頭のなかには凪咲の顔がかならず浮かんできた。
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