A Maze of Love 〜縺れた愛〜
「えっ?」
凪咲が少し驚いた顔をして顔を向けたとき、大翔はぎこちなく、でも素早く唇を重ねた。
触れるだけの、キス。
バニラの味がした。
凪咲は雷に打たれたような顔で大翔を見つめた。
「どうして?」
「好きだから。ナギが」
凪咲はぱっとベンチから立ち上がり、道路を駆けだした。
「おい、待てよ」
あわてて後を追うと、凪咲は急に立ち止まり、大翔に抱きついてきた。
大翔の背丈は、もうとっくに凪咲を超えている。
凪咲の頭は胸のあたりにあって、シャンプーの香りが鼻をくすぐる。
大翔は彼女が自分の腕の中にいる幸福に酔った。
「わたしも好きだよ。大翔のこと」
帰り道、大翔が手をつなぐと、凪咲も握り返してきた。
幸せすぎて、足が地面から浮いている感じがした。
家が見えてきたところで、ふたりはもう一度、口づけた。
それからも人目を忍んで、何度もキスをした。
でも、それ以上進もうとは思わなかった。
大翔には少し潔癖なところがあった。
今、思えば、無意識に父のようになりたくないという気持ちがあったのかも知れない。
凪咲が少し驚いた顔をして顔を向けたとき、大翔はぎこちなく、でも素早く唇を重ねた。
触れるだけの、キス。
バニラの味がした。
凪咲は雷に打たれたような顔で大翔を見つめた。
「どうして?」
「好きだから。ナギが」
凪咲はぱっとベンチから立ち上がり、道路を駆けだした。
「おい、待てよ」
あわてて後を追うと、凪咲は急に立ち止まり、大翔に抱きついてきた。
大翔の背丈は、もうとっくに凪咲を超えている。
凪咲の頭は胸のあたりにあって、シャンプーの香りが鼻をくすぐる。
大翔は彼女が自分の腕の中にいる幸福に酔った。
「わたしも好きだよ。大翔のこと」
帰り道、大翔が手をつなぐと、凪咲も握り返してきた。
幸せすぎて、足が地面から浮いている感じがした。
家が見えてきたところで、ふたりはもう一度、口づけた。
それからも人目を忍んで、何度もキスをした。
でも、それ以上進もうとは思わなかった。
大翔には少し潔癖なところがあった。
今、思えば、無意識に父のようになりたくないという気持ちがあったのかも知れない。