A Maze of Love 〜縺れた愛〜
 失恋の痛手は、大翔の整った横顔に翳りを帯びさせた。
 皮肉なことに、周りの女子たちにはそれがミステリアスで魅力的に映ったらしい。

 だからこの3年で、十指に余るほどの女子に告白された。
 けれど、どんなに言い寄られても特定の子と付き合おうとはしなかった。

 誰も凪咲の代わりになんてなれない。
 そう思っていたから。

 けれど、あの大雨の日。
 大翔は〝渚〟に出会った。

 一目見て、驚いた。
 渚は、凪咲にとてもよく似ていた。

 黒目がちの大きな眼も桜の花びらのような唇も。
 髪の色だけは黒ではなく明るいブラウンに染めていたけれど。

 名前も同音異字の「なぎさ」

 あまりにも符丁が合うので、なにかの啓示ではないかと、大翔はなかば本気で思った。

 この子を愛することができれば、凪咲への、どうしようもない想いを断ち切れるかもしれない。
 
 大翔はそんな身勝手な想いにかられて、バスタオルを返しに自室に尋ねてきた渚を抱きしめていた。

 歯の浮くようなセリフを口にしながら。
「好きになったみたいだ」と。
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