A Maze of Love 〜縺れた愛〜
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表に出ると、大粒の雨が降りだしていた。
「雨、ひどくなりそうね」
後部座席に傘が置いてあるのを確かめてから、凪咲は助手席のシートベルトをしめた。
午後の早い時間とは思えないほど、あたりは暗い。
大翔はエンジンをかけ、ヘッドライトをつけた。
いざ、ふたりになると、何を話せばいいのかわからない。
言葉が出てこない。
今日、出発してから、ずっと考え続けてきたのに。
「もう3年生か。早いね。就活、始めてるの?」
凪咲のほうは普通に話しかけてくる。
でも当たり障りのないことしか言わない。
かつて、二人が付き合っていた事実なんてなかったとでもいうように。
だが凪咲も意識している。
わざとらしいほど、姉らしくふるまっている。
そうしないと、本心を見透かされると恐れているのが、大翔にはわかる。
やはり、このチャンスを逃すわけにはいかない。
大翔は改めて、そのことを心に刻んだ。