A Maze of Love 〜縺れた愛〜

***

 表に出ると、大粒の雨が降りだしていた。

「雨、ひどくなりそうね」
 後部座席に傘が置いてあるのを確かめてから、凪咲は助手席のシートベルトをしめた。

 午後の早い時間とは思えないほど、あたりは暗い。
 大翔はエンジンをかけ、ヘッドライトをつけた。

 いざ、ふたりになると、何を話せばいいのかわからない。
 言葉が出てこない。
 今日、出発してから、ずっと考え続けてきたのに。

「もう3年生か。早いね。就活、始めてるの?」

 凪咲のほうは普通に話しかけてくる。

 でも当たり障りのないことしか言わない。
 かつて、二人が付き合っていた事実なんてなかったとでもいうように。
 
 だが凪咲も意識している。
 わざとらしいほど、姉らしくふるまっている。
 そうしないと、本心を見透かされると恐れているのが、大翔にはわかる。

 やはり、このチャンスを逃すわけにはいかない。
 大翔は改めて、そのことを心に刻んだ。
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