A Maze of Love 〜縺れた愛〜
父親の病状は、今すぐ命にかかわるというものではなかった。
医者の話では、脳梗塞を起こしていたが、処置が早かったので大きな後遺症は残らないだろうということだった。
ただ、今までほとんど病気をしたことがなかった父は、急に不安を覚えたらしい。
兄に会社を任せたい。
だが、そうなれば大翔の母が黙っていないことは明白だ。
そこで大翔も卒業後、会社に入り、ふたりの間をうまく取り持ってほしい。
父は、俺にそんなことを言った。
ずいぶん能天気だなと、大翔は内心苦笑した。
大翔が入社すれば、さらに兄は、結局、俺と母親に会社を乗っ取られるのではないかと不信感を募らせて、よけいに問題が大きくなることは必至なのに。
けれど特に反論もせず、その場を後にした。
そんなことで時間を取られるよりも、大翔は早く凪咲と二人になりたかった。
そして帰り道、交差点まで来たとき、大翔は右折するはずの道を左折した。
医者の話では、脳梗塞を起こしていたが、処置が早かったので大きな後遺症は残らないだろうということだった。
ただ、今までほとんど病気をしたことがなかった父は、急に不安を覚えたらしい。
兄に会社を任せたい。
だが、そうなれば大翔の母が黙っていないことは明白だ。
そこで大翔も卒業後、会社に入り、ふたりの間をうまく取り持ってほしい。
父は、俺にそんなことを言った。
ずいぶん能天気だなと、大翔は内心苦笑した。
大翔が入社すれば、さらに兄は、結局、俺と母親に会社を乗っ取られるのではないかと不信感を募らせて、よけいに問題が大きくなることは必至なのに。
けれど特に反論もせず、その場を後にした。
そんなことで時間を取られるよりも、大翔は早く凪咲と二人になりたかった。
そして帰り道、交差点まで来たとき、大翔は右折するはずの道を左折した。