A Maze of Love 〜縺れた愛〜
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車はホテルのガレージに入っていった。
ワンガレージタイプのラブホテル。
大翔は無言で車を降り、空き室のボタンを押した。
凪咲もすぐに降りてきて、後ろから大翔の手をひっぱった。
「どういうつもり、こんなところに連れてきて。ねえ、すぐ戻って」
大翔は正面から両肩をつかんで、凪咲の顔をのぞき込んだ。
「ごめん。邪な気持ちで連れてきたわけじゃない。どうしてもふたりきりで話がしたかった。誰にも邪魔されない場所で。ここしか思いつかなかったんだ」
「そんなこと言われても……ねえ、だめだよ。もしあの人に知られたら……ねえ、帰ろう。それか、どこか別のところで」
ふたりで言い合っているところに、他の人の車が入ってきた。
「行こう。人に見られるよりはいいだろう」
大翔は凪咲の肩を抱き、部屋に通じる階段に向かった。
凪咲はまだ、納得がいかない顔をしていたけれど、しぶしぶ大翔に従った。
落ち着いた内装の部屋だった。
凪咲はまだ不安そうにあたりを見回している。
大翔はソファーに座るように促し、冷蔵庫からペットボトルのウーロン茶を出した。