極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
「まあ、それは本当によかったですね。では、今日はこれで大丈夫ですよ。受付で次の検診を予約して帰ってくださいね」
「はい、ありがとうございました」
 二葉は診察用の椅子を降りてカーテンの中に入った。そこで下着をつけてドアを開けたところが、中待合室だ。
(エコー写真、早く奏斗さんに見せたいな)
 二葉は写真を入れたバッグを持って、ワクワクしながら中待合室を出た。奏斗を探して外待合室を見回したら、彼はキッズスペースの前にいて、お腹の大きな女性が荷物を拾うのを手伝っていた。どうやらその女性は、キッズスペースで遊んでいた上の子に靴を履かせて立ち上がろうとしたとき、マザーズバッグを落としてしまったようだ。絵本や水筒、虫除けジェルやウェットティッシュなどが散らばっていて、二歳くらいの女の子がそばで立っている。
 二葉も手伝いに行こうとしたとき、突然名前を呼ばれた。
「二葉?」
 怪訝に思いながら顔を向けたら、短めの茶髪で少し甘めの顔立ちをした男性が、すぐ前の三人掛けのロビーチェアに座っていた。
「えっ」
 一年以上会っていなかったうえに、顎の辺りがたるんで少し雰囲気が変わっていたが……大学生のときから五年付き合った元カレの野中(のなか)圭太郎だった。
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