極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
 電話の向こうで祖父が安堵したようにホッと息をつく音が聞こえた。
『二葉、幸せにしてもらいなさい』
 祖父の声は今まで聞いた中で一番柔らかかった。
「そうですね。私も彼を幸せにしたいと思っています」
『そうか』
「一人では幸せになれませんから」
『良隆もそうだったのだろうか』
 祖父の呟くような声が言った。
 両親が仲良く幸せそうだったのは間違いない。
 二葉は自信を持って「はい」と返事をした。
『そうか……』
 少し考えるような間があったあと、祖父の声が聞こえてくる。
『二葉、体に気をつけてな』
「はい、おじいちゃんもおばあちゃんも」
『電話してくれてありがとう』
 二葉が「はい」と答えたあと、電話が切れた。二葉は手の中のスマホをじっと見る。
「二葉」
 奏斗が後ろからふわりと二葉を抱きしめた。二葉は奏斗の手に自分の手を重ねる。
「奏斗さんは魔法使いなの?」
 二葉の言葉を聞いて、奏斗は小さく噴き出した。
「魔法を使えたらいいと思うことはあるが、魔法使いではないな」
「でも、父に怒って母を恨んでいた祖父が……あんなふうに謝ってくれるなんて思いもしなかった」
「おじいさんはずっと胸の内を誰かに聞いてほしかったんだと思うよ」
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