小児科医は癒やしの司書に愛を囁く
耳元で言ってやるとハアハアと苦しい息の下からこちらを見た。
可哀想に……子供の辛そうな姿を見ると本当にこの仕事をしていて力及ばないことが耐えられなくなる。隆君も移植を考えなくてはならないかもしれない瀬戸際にきている。父親はあんなことをしている場合ではないのだ。
点滴をしながら、反対の腕に注射をする。落ち着いてきた。顔を撫でてやる。
カーテンをして医局へ宝田先生と戻る。宝田絵美は大学の同期だが、国家試験に受かったのが俺の方が早かったので、後輩になった。ここ宝田小児医療病院の長女だ。彼女は婚約している幼馴染みの医者がいる。だから俺の相手が妹さんだったのだ。
「原田君。どうなの?」
「明日、落ち着いたらもう一度検査だな」
「……そんな」
「状況を見てカンファレンスにかけないといけないかもしれない」
「隆君……よく頑張ってる」
「わかってるよ。だからこそ、何とかしたいんだ。でも俺たちができないなら他で何とかするしかない」
「……そうだね」