小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

 車に近寄って、窓をトントンと叩くと先生が頭を上げてこちらを見た。高村先輩を見てびっくりしている。運転席を降りて出てきた。

 高村先輩が話し出した。

「初めまして。平田の同僚で同じ大学だった高村です。平田が今お邪魔しているそうで……ご挨拶したくて」

 先生も頭を下げた。

「こちらこそ。いつも病院で平田さんにはお世話になっていました。小児科医の原田と申します」

 にこやかな先生に対して、高村先輩はすぐに様子を探るように話しかけてきた。

「ストーカーの話を聞きました。彼女を助けて下さってありがとうございました。ただ、ストーカーが来る病院のすぐ近くにお住まいのあなたと同居させるのは、かえって危ないんじゃないかと思うんです。だから、同居は解消してもらい、俺が彼女の面倒を見たいと思います」

 驚いた。まさか、そんな話をするとは思っていなかった。
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