小児科医は癒やしの司書に愛を囁く
「ちょ、ちょっと先輩。話が違いますよ」
先輩はかみつくように言った。
「何が違うんだよ。こんなよく知りもしない人のところに嘘ついて同居させられるくらいなら、俺にしろ。その方が安心だ」
先生は黙って先輩のまくしたてるのを聞いていたが、静かに言い返した。
「美鈴は恋人の俺の所にいるだけです。あなたはタダの先輩。俺は恋人。どちらが安心ですか?」
「……何を言っているんだ。恋人なんて嘘だろ。俺はずっと平田を見てきたし、話もしていたから恋人なんていなかったのはわかってる。ふざけるなよ!」
「せ、先輩、落ち着いて下さい。だから、告白されたのも、お付き合い始めたのも最近なんです。すぐにストーカーのことがあって……」
「……嘘をつけ。すぐにお前の嘘なんてわかる」
弘樹先生は先輩を見て、ため息をついた。
「確かに、付き合いはじめたのは最近です。でも、彼女にはずっと片想いしていました。やっと伝えることが出来て、同時に守る事が出来るなら同棲するのは何の問題もない。それに選ぶのは彼女だ。君の所がいいか、俺の所がいいのか聞いてみればいい」