小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

「……確かにそうだ、平田。無理するな。俺の所へ来い」

 どうしてそう言えるのかよくわからない。先輩だって独身男性。彼女がいないのも知っている。先輩だったら安心だとでも?何か起きる関係なら、弘樹先生がいい。今わかった。私は弘樹先生が好きなんだ。

「先輩。ご心配頂くのはありがたいのですが、弘樹先生とはお付き合いしているって言ったでしょ?彼女のいない先輩の家に住むより、私は彼氏である弘樹先生の家に住む方がいいです」

 きっぱり目を見て言った。先輩はあっけにとられている。

「そういうことですので、あしからず。ご心配おかけしてすみません。彼女は必ず守ります。図書館にいる間は申し訳ないですがよろしくお願いします」

 先生は高村先輩に頭を下げた。私もその横で先輩に頭を下げる。

「……ふ、ははは」

 高村先輩は顔に手を置いて笑い出した。

「馬鹿みたいだ。そうか、本当に彼が好きなんだな。わかったよ、完敗だ。ただし、彼女を守るという言葉忘れるなよ」

「ああ、もちろん。君に彼女を取られないようにしっかり守るよ」
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