小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

「……せ、先生、何言ってるの?」

 私にウインクしている先生。何なのよ。私は恥ずかしくて下を向いてしまった。

「その通りだ。見てるからな。じゃあな、平田。気をつけろよ、彼にもね」

 そう言って、ウインクして自分の車へ向かって言った。最近の男の人はウインクが上手なんだなあと馬鹿なことを思っていたら、弘樹先生に背中を抱かれた。

「……早く乗って」

 助手席のドアを開けてくれる。私が乗り込むとすぐに彼も乗ってきた。

「……美鈴。さっきの言葉は本心?」

 私は本心を隠した。先生は恋人のフリをすると言っていたのだから、困らせてはいけない。

「もちろんです。私は先生と恋人のフリをする約束をしたんですから、高村先輩にもそう思ってもらわないと困るでしょ?」

「……ふーん」

 先生はハンドルに両手を置いてこちらを見ている。
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