小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

「彼は君が好きなんだよ。気付いてなかったのか?」

 低い声で前を見ながら私に言った。

「そんな。何も言われてないです」

 弘樹先生はハンドルに頭をつけて、はーっとため息をついている。

「……しっかりしてくれよ。こんなところで宣戦布告されるとは思いもしなかった。病院にも、ここにもいるのか。手強いな」

「ごめんなさい」

「いや、謝ることじゃないけどね。美鈴もてるなあ……」

「もてませんよ!」

「何言ってんだよ。何人の男に言い寄られてるんだ?困った奴だ。君、今は俺の恋人だぞ。わかってる?」

「……わかってるから、先生のおうちに住んでるんでしょ!」

 彼は身を乗り出して、急にキスをした。すぐに離れたが、じっと見ている。
< 95 / 226 >

この作品をシェア

pagetop