後ろの席の五十嵐くんと私の、2人だけの秘密

「な、五十嵐はどうなの?最近。」


「何が?」


いつも通りの表情に戻った五十嵐くんがそう聞き返すと、中野くんが「ほら、去年なんか、ずっと彼女絶えなかっただろ?大学生とも付き合ったりしてさ。」なんて話をし始めた。


――あ、なんかあんまり聞きたくないかも。


そう思った途端、食べているクレープが急に喉を通らなくなってきた。


「え、大学生!?五十嵐くん、やるぅ〜」


亜紀がちょっと冷やかすようにしてそう言うと、五十嵐くんは「まぁ、彼女いたにはいたけど、今は全然。」とサラッと返す。


――すご。五十嵐くん、経験豊富…?


そんなことを思った途端、モヤモヤしてくる。


嫉妬?

ダメ。嫉妬なんかしていい立場にないんだから。


「この前なんか、他校の元カノが試合の応援きててさ。凄かった。アピールが。」


「えー?元カノなのに?五十嵐くん、やっぱりモテるんだねぇ。」


中野くんと亜紀がそう話す横で、五十嵐くんがクレープの最後の一口を飲み込んでから口を開いた。


「元カノとか、どーでもいいや。今、俺、好きな子いるし。」


ドクン、と心臓が跳ねる。


「マジ!?誰?」


中野くんが身を乗り出してそう尋ねると、五十嵐くんは「教えねー」って言ってニカッと笑った。

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