後ろの席の五十嵐くんと私の、2人だけの秘密
「嫉妬してくれてるんでしょ?ね、松田さん?」
――なんでそんな、嬉しそうな顔するの。
「嫉妬なんか、してない。」
「そ?じゃあ俺に彼女できたって思った時、どう思った?」
「どうって…ムカついて…」
「なんで、ムカついたの?」
「私は添い寝担当で、本命は別に作るなんてって。」
「ほら、嫉妬じゃん。」
「違うもん。」
「…素直じゃないね?」
そう言って五十嵐くんが嬉しそうに笑った。
「…そんなこと…ない。」
「じゃあ俺のこと嫌いなの?嫌いなら、来ちゃダメだよ、男の部屋になんて。」
「…」
私が何も言えずにいると、五十嵐くんは私の目をまっすぐ見つめて言った。
「彼女は、ホントにいないよ。今朝は俺、振ったんだよ。あの子のこと。」
「うそ。だって、付き合ってって言われて…最後に、いいよって返してたでしょ?」
「いいよって言ったのは、『これからも応援してる』って言われたから。だから『それならいいよ』って返しただけ。」
――なにそれ。
言ったことを全部打ち返されて、だんだんと状況が理解できてきた。
つまり五十嵐くんは、本当に私のこと…。
そう考えると、急に恥ずかしくなったから俯いた。