後ろの席の五十嵐くんと私の、2人だけの秘密
「安心した?」
五十嵐くんの言葉が、俯いた私の顔のすぐそばで聞こえる。
私が黙ったまま、コクッと頷くと、ゆっくりと背中に手を回されて抱き寄せられた。
五十嵐くんに触れられた部分が、緊張して電気が走ったような感覚になる。ドキドキが止まらなかった。
五十嵐くんは、屈んで私の首元に顔を埋めると「久々の松田さん…」なんて呟くから、なんだか可愛く思えてキュンとする。
「こうやって、松田さんを抱きしめてたら、ずっとこうしてたいって思うくらい、落ち着くし、ドキドキする…。」
「ドキドキ…するの?」
「そりゃ、好きな子を抱きしめて、ドキドキしないやつなんていないよ。」
そう言ってしばらくの間、五十嵐くんは黙ったまま私を抱きしめていた。
さっきから心臓が鳴り止まない。
エアコンの音と、五十嵐くんと私の息遣いだけ、やたら聞こえてくる。