騎士団長サマ、そのエッチな本音が丸聞こえですっ!!
「確かに我が家にも定期的に御用聞きの商人が出入りをしていたが、今日は普通に買い物がしたい」
大真面目な口調で返されたアマーリエは少しの間考えた。
彼をどの店に案内するかについてを。
「高級なお店となると大通りにある『ラメル』でしょうか。セトルバーンの市長の奥様もご愛顧しているのだとか。又従兄の義理のお姉様の妹の旦那様の……娘さんでしたっけ? にぴったりな宝飾品が売っているかもしれません」
「そこは従姉妹だ」
ぼそりと突っ込まれた。
もうそろそろこの設定止めにしたい。
「高級店よりも、私はきみがよく行く店がいい」
「え?」
「いや! 別に他意はない。他意は。ただ、団長として、部下たちが普段どういうものを話題にしているのか知りたいと思ってだな! そう、これも一種の職務だ。部下たちとの円滑な交流を促進するという目的であって、決して誰か個人の趣味趣向を知り尽くしたいとか、店の前を張って偶然を装って出会いたいなどという不埒な考えがあるわけではない!」
「……」
なんということだろう。バーナードは心の声が口からだだ洩れではないか。
唖然とするアマーリエの様子に、バーナードが目を見開いたまま硬直した。
「っ……」
『まずいぞ。勢いで言わなくてもいいことまで口走ってしまった。デートに浮かれすぎだぞ、自分! これでは団長キモ……と思われてしまう。そうなったら、立ち直れない……。もはや旅に出るしかない』
今度は心の声が脳内に響いた。
そのどちらもが、アマーリエに嫌われたくないという思いばかりで。
こんなことくらいでそこまで思いつめてほしくはない一心で、気付けば口を開いていた。
「部下のことを知ろうとしてくれる上司は素敵だと思いますよ?」
「え……?」
「わたしも……、今日は団長のことを知りたいと思います」
「私のことを……?」
「はい。本音を申しますと……今日、会話が続くかなと不安に思っていたのですが、ちゃんと会話が成立していて、普通に話せていることが……楽しいです」
「楽しい……」
「あ、すみません。上司との会話が楽しいだなんて、軽率というか、馴れ馴れしいですよね」
「いや、構わない! 私も、嬉しく思う」
「じゃあお揃いですね」
何やらおかしくなってくすくす笑うと、バーナードが口元を綻ばせたように感じた。
「あ」
「どうした?」
「今……微笑まれましたよね?」
「本当か?」
どうやら無意識だったらしい。
すでに彼の表情は平常運転、つまりはぴりぴりとした冷厳さを身に纏った険しい顔に戻っている。
どうしてだろう。今では以前のように彼のその表情を怖がってはいないことに気がついた。