いつも側にいてくれたね


そこには直生と、直生にハグされている女が写っていた。

夏芽なのか?

顔が見えないからはっきり夏芽と断言できない。

「ほらね、湯川くんにそっくりなお兄さんでしょ」

「なんだよこれ。誰だよこの女は」

直生が誰とハグしようと構わない。

でも、相手が夏芽だったら。

俺は一気に不安に襲われた。

直生と夏芽が付き合えばいいと思ったこともあった。

でも、実際にあの2人が俺の目の前で仲良くしてたらって考えただけで胸が痛い。

いやいや、これは夏芽じゃない。

俺の知らない女だ。


「湯川くん、この子の写真なら他にもあるよ。衣装に着替えて写真撮ったの。これ・・・」

見せてくれた写真には中世のドレスを着てにっこり微笑んでいる女が写っている。


夏芽・・・。


俺はその写真を掴み取り、教室から駆け出していた。


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