ハイドアンドシーク
反論する間もなくカーテンが開けられた。
鏡のほうを向いていたわたしは、あわてて東雲さんに向き直る。
本当はそのまま試着室の隅に下がってしまいたかった。
それくらい恥ずかしかった。
東雲さんの前で女の子の格好をするのは小学生のとき以来、初めてだったから。
しかも、こんな、ウェディングドレスみたいな。
そんな気がなくたって意識してしまう。
「……やっぱりな」
長く黙っていたかと思えばそう呟いたから、ただでさえどきどきしていた心臓がもっと跳ね上がる。
やっぱり、なに?
やっぱり試着するまでもなく?
に、似合ってない……?
だけど、違った。
「やっぱりお前には白が似合う」
柔らかく細められた眼差しは、まっすぐにわたしを、わたしだけを見つめていた。