ハイドアンドシーク


どうやら西と対決、対西、タイニシ、タニシ

……ということらしい。

なるほどちょっと上手い。


彼は濡れたままの手を制服で拭きながら、教室の前のほうにある自分の席にだらしなく座った。

スマホを制服のポケットから取りだして、なにやら横持ちに切り替えている。



「もひとついい?」

「百万くれたらな」

「ブッチって?さっき、ブッチがタニシだ〜って」


すると半身だけをこちらに向けていたクラスメイトが手元を見たまま、にやりと可笑しそうに笑った。



「来てたんかよアイツ」

「その、ブッチって…」

「あだ名。ダチとの約束ドタキャンばっかしてたら、裏でブッチって呼ばれて誰にも誘われなくなってんの」


どうしよう、すごく面白そうなひとがいる。


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