ハイドアンドシーク
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「東雲さん?」
ひかえめに顔を覗き込んでくる。
その弾みで中途半端に肩にかかっていた長く緩やかな髪が前へと零れた。
今はウィッグを取っているからか、不安げに見つめてくる姿はどう足掻いても女にしか見えない。
「東雲さん、調べ終わりました……?」
「……だいたいは」
思い返せば。
そういった行動は端々にあった。
部屋に帰ってくると、自分のではなく俺が使うベッドで寝ていたり。
このあいだのように極端に近くに来ていたり、クローゼットの前でぼやっとしていたり。
また寝ぼけてんな、疲れてんだろうなと深くは考えていなかった。
つまりあれが"巣作り"というやつだったのだろう。